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コロナ禍の大阪都市圏で、アーバン?エクソダス※により、一時的に人口が増加していたことが判明

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本研究のポイント

■コロナ禍で、東京などでは、一時的な人口減少が指摘される一方、大阪では一時的に増加していたこと、都市圏外からの移住者が増加していたことが判明。
■特に、2020年夏~秋にかけて、大阪都市圏周辺部の自治体(和歌山市、福知山市、淡路市、宝塚市など)では人口が増加していたことが判明。


「アーバン?エクソダス」とは、旧約聖書の出エジプト記における移住に倣って、都心部からの移住者が増加する都市現象を意味します。沙巴体育平台感染症の流行により、世界中の都市圏で指摘されています。

概要

 220217-1.jpg沙巴体育平台大学院 生活科学研究科 居住環境学講座の加登 遼(かとう はるか)助教、瀧澤 重志(たきざわ あつし)教授らの研究グループは、住民基本台帳人口データを基にコロナ禍における大阪都市圏の人口変動を調査したところ、1回目の緊急事態宣言が解除された後の2020年夏から秋にかけて、大阪都市周辺部(和歌山市、福知山市、淡路市、宝塚市など)で人口が増加していたことを明らかにしました。
また、同期間中、国内外の他の都市圏と異なり、大阪都市圏では人口が増加していたことが判明しました。
本研究成果をふまえ、今後、大阪都市圏周辺地域への移住理由の解明を進めることで、高齢化を伴う人口減少に直面している大阪都市圏周辺部の自治体で移住者が増加する転機となる可能性があります。
 本研究成果は、2022年1月29日に国際学術誌「Sustainability」にオンライン掲載されました。

研究者からのコメント

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加登 遼 助教

コロナ禍で、東京などでは、一時的な人口減少が指摘される一方、大阪では一時的に増加していたことが判明しました。シュリンキングシティ(人口減少都市)は、世界中の都市計画で、未だ未解明なことが多い課題と言われています。大阪都市圏は、都市圏全体で高齢化を伴う人口減少が続いている都市圏として、世界的にも注目されています。

研究の背景

 沙巴体育平台感染症の流行の中、リモートワークなどのニューノーマルなライフスタイルの定着だけでなく、都心部における度重なるロックダウンや医療崩壊の危機などから、世界中で都心部から移住する人の増加がみられます。この都市現象は、旧約聖書の出エジプト記における大量の移住者に倣って「アーバン?エクソダス(Urban Exodus)」と呼ばれ、コロナ禍を契機に注目されるようになり、ニューヨークなどの世界中の都市圏で指摘されています。

研究の内容

? 関西(大阪府?京都府?兵庫県?奈良県?滋賀県?和歌山県)における各自治体の住民基本台帳人口データを用いて、2017年1月から2021年9月の毎月の人口変動を分析しました。
 その結果、第1回目の緊急事態宣言後で、GO TOトラベル事業などが実施されていた2020年の夏から秋にかけて、主に大阪都市圏周辺部の自治体である和歌山市、福知山市、淡路市、宝塚市では人口が増加していたことが明らかとなりました。これらの自治体は、コロナ禍以前から、移住政策を推進していた自治体であり、コロナ禍を契機に移住者が加速的に増加した可能性があります。
また、同期間中、大阪都市圏は、国内外の他の都市圏と異なり、都市圏全体でも人口が増加していたことが分かりました。これらの結果は、大阪都市圏内での移住者だけでなく、大阪都市圏外から大阪都市圏への移住者も存在していることを意味します。さらに、この大阪都市圏におけるアーバン?エクソダスは、高齢化を伴う人口減少が継続していた大阪都市圏において、一時期ではあるものの、高齢化を伴う急速な人口減少のスピードを抑制するほどのインパクトがあったことが分かりました。
 世界各国で新たな変異種が継続的に発生して、コロナ禍が長期化する現在、人々の暮らし方や働き方が多様化しています。アーバン?エクソダスは、これまで高齢化を伴う人口減少に直面していた大阪都市圏周辺部の自治体で、移住者が増加する転機となる可能性があります。
 本研究では、人口が増加した自治体が大阪都市圏周辺地域に立地していたことを示しましたが、今後、移住者が大阪都市圏周辺地域に移住した理由を解明することで、これまで移住政策を推進していなかった自治体においても、高齢化を伴う急速な人口減少のスピードを抑制し、生活サービスを維持できる可能性が期待されます。

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資金情報

 本研究は、科研費(21K14318)の対象研究です。

掲載誌情報

【雑誌名】 Sustainability, Vo. 14 (2022), Issue 3, No. 1601 (IF=3.251)
【論文名】Impact of the Urban Exodus Triggered by the COVID-19 Pandemic on the Shrinking Cities of the Osaka Metropolitan Area
【著 者】Haruka Kato and Atsushi Takizawa
【U R L】https://doi.org/10.3390/su14031601